東南アジアの旅を終えて、日本に戻ってきてしばらく経った。
全然力が湧かない。労働意欲も低い。もう辞めるしかないな。ということを友人に話すと、「それ、いっつも旅が終わるたびに言ってるよ。そういう現象なんだよ」と言われた。なるほど、じゃあ一時的なものなんだろう。
いやいや、今回はきっと違う。本当に辞めるんだと思う。だって、つまらないからだ。
旅をしていると、日々様々な発見があって、出会いがあって、アクシンデントがある。疲れることも多いが、楽しい。言語も文化も地理も異なる場所に飛び込み、生活をする。環境が変わると、眠っていた細胞がムクムクと起き上がってくる感覚がある。これは普段の生活では味わえない。
先日、思想家の東浩紀氏の「弱いつながり」を読んだ。この本はいわゆる「旅のススメ」なのだけれど、それは自分探しを推奨するものではない。自分探しなんていらない、なぜなら、自分の親、友人、母校や生まれた街を見ればすぐにわかるから。つまり、環境が自分を規定していると。
環境が人に影響を与えるという指摘は、別に目新しい情報ではない。あちこちで聞く話だ。だけれど、海外にいた自分には、すごく説得力のあるものとして感じられた。
東南アジアは日本のような歩行者優先の社会ではない。車はバンバンやってくる。信号があまりないので、渡るときはしっかり周りを観察し、チャンスを見つけてあとはズカズカ渡っていく「押し」が必要だ。また、使う言語は日本語ではなく演劇的な英語。ジェスチャーも使ったりする。
すると、自分が若干アクティブになっていることに気づく。表情が豊かになっていたり、声が大きくなっていたり、行動量が増えていたりする。これは面白いなと思った。別に頑張っているわけじゃない、環境が変わったことによって自然と自分も変わっているのだ。
今日本に帰ってきて力が湧かないというのは、もちろん私がものすごく怠惰な人間であることも大きいのだけれど、環境が良くないとも言えるのではないか。今こそ、変えちゃうべきなんじゃないのか。
ということで、仕事について考えている7月の終わり。