atoiuma’s blog

人生あっという間。マイペースにおもしろく。

糸井さんと私

72冊目。

古賀史健がまとめた糸井重里のこと。 (ほぼ日文庫)

古賀史健がまとめた糸井重里のこと。 (ほぼ日文庫)

 

 

前から気になっていた本。

 

出会い

糸井さんに出会ったのは随分前のこと。その当時私はいわゆる引きこもりだった。学校にも会社にも所属しない不安定な状態で四苦八苦している時に、何かのきっかけでほぼ日を知り、糸井さんに出会った。

 

彼の文章に衝撃を受けた。とても柔らかく、ユーモラスで、そしてどこか詩的で、読んでいると心が動く。今まで読んだことのない文体で、こりゃすごい!と感動した。なんでもコピーライターという仕事をしているそうで、文章で食っていくってこういうことなんだと思った。素人の若造だった私にも、その凄みが理解できた。

 

そこからは毎日サイトを訪れて今日のダーリンを読んだ。毎日更新されてしまいアーカイブが残らないので、気に入ったものはプリントアウトして保管した。無料で読めるインタビュー記事も豊富で、今は亡き任天堂の岩田さんとの対談など面白いものが盛りだくさんだった。引きこもっている間、毎日多くの時間をかけて読みまくった。引きこもってから日記を書き始めて、それは今現在でも続いてるのだけれど、そこでの表現も糸井さんの要素を取り入れるようにしていた。まあ、真似っこですね。コピーライターのバイトにも応募したりした。落ちたけれど。

 

あれから随分時が経って、今では引きこもりどころか旅人になってあちこち行けるようになった。だいぶ息がしやすくなったけれど、それに伴い、サイトを訪れる回数は減っていった。

 

そんな現在、ツイッターでこの本の存在を知り、これは面白そうだということで手にとってみた。

 

感想

とても楽しかった。気持ちがいい文体で、マザーのこと、岩田さんのこと、永ちゃんのこと、そして自身の子供時代からゆったりと現在までが語られている。69歳の大先輩の物語は面白く、学びになることも多かった。自分と重ね合わせて落ち込んだりもした笑。そういう楽しみ方もある。

 

お父さんがしんどそうに働いていたのを見て、自分もいつかあんな風に毎日イヤイヤ働かないといけないんだと考えたら憂鬱で布団の中で泣いたというエピソードが好き。糸井さんは現在楽しそうに働いてるようだし、去年には上場したしで生き生きしている。いいことだ。歳を重ねても生き生きしている人間は素晴らしい。いるようで、なかなかいない気がする。憧れの一つだ。

 

そうそう、糸井さんと任天堂の岩田さんが仲良しだというのはもちろん知っていた。ほぼ日で何度も対談しているし。ただ、「岩田さんの奥さんが嫉妬するレベル」というのは知らなかった。岩田さんのファンでもある私には、ほっこりする話。

 

今現在、私は就活であーだこーだともたついてる。大きなストレスはないけれど、じわじわ変なストレスはあるみたいで、小さく調子が悪かったりする。そんな中、働きたくなかった糸井さんが自分らしい形(フリーランス)で面白い仕事をし、流行り、49歳でほぼ日をスタートし、去年68歳の時に上場するという大きな物語は私の視野を広げてくれたし、励ましにもなった。やっぱり糸井さんは面白い。これからもきっと面白いことをたくさんやってくれるだろう。それをファンとして見守りながら、自分は自分で人生を前進させていこう。

 

そうそう、我慢できずにマザー2を始めた。お母さんのいない家庭で育った糸井さんが、マザーという名作RPGを作りあげたのは興味深い。実家で流れる優しい音楽に、ちょっと涙腺が刺激されている。

 

良い本でした。特にほぼ日や糸井さんのファンにはオススメ。