９７冊目。
西野さんの最新作。
先日全編を無料公開したというニュースが入ってきた。また面白いことやってんなーと思って、せっかくだから無料で読んでみることにした。
いやー、面白かった！前書きから熱い。西野さんについてははねとびに出てた人くらいの印象しかなかったんだけれど、若い頃から無茶苦茶な努力をしてスピード出世をしてる人だったのね。時には２０時間も相方と一緒に漫才練習したとかすげえ。好きなゲームでもそんなにやれないわ。そんだけやったらそりゃ潰れるわ梶原さん。
そこからなんとか復活して共にもう一度と動き出したら、今度はたくさんの誹謗中傷に襲われる西野さん。でもそれに負けずにチャレンジを続ける姿は、「血を流しながらにっこり笑うんだ！」と言って挑み続けた岡本太郎先生を彷彿とさせた。やっぱりガッツって大事ですわ。
本編ももちろん面白い。タイトル通り、まさに新しい世界がどんどん語られていく。ホームレス小谷さんがクラウドファンディングで結婚費用を集めた話のカラクリを聞いてたまげた。なるほどなー、西野さん、人間という生き物をよく知ってるわ。
他にも、オンラインサロンは小さな町という発想も面白かった。せっかく髪を切るなら、同じ価値観を持って話もできる美容師がいるところで切りたい、だったらサロンの中から探し出せばいいじゃないか！そしたらそこにお金も落ちるし！というのはなるほどなーと思った。人で選んでいくというスタイル。
月１０００円で入会できるこのサロンの人数は、これからもどんどん増えていくだろう。そうすると数の力がついてきて、「西野さんのサロン入会の方には半額でサービスさせていただきます」という話も出てくるかも。この際入ってみようかな。
そう、レターポットも面白かった。お金の要素である、「交換、尺度、保存」は文字にもあるじゃないかということで始まったサービス。まだこれに関してはあまり理解できてないんだけど。文字を制限すると人は悪いことを言わなくなるという指摘は、哲学者の池田晶子を思い出させた。彼女は、言葉には言霊が宿っているので安易に口にしてはいけないと言っていた。だからどっかの携帯会社が実施した「喋り放題」のサービスを批判していた。喋ることがないなら黙ろうよ。言葉を大切に。
他にも、善意が人を苦しめる話など、勉強になることがたくさんあった。西野さんってやっぱり柔軟で面白いわ。普通の人が気づかなかったり気づいても思考しないところをロジカルに軽やかに発見して策を練る。そら人気出るわ。
１回読んだだけじゃ頭がついてかないので、何度も読んでいくスタイルがいいかなと。いや、もういっそのことオンラインサロンでもレターポットでもやってみるのが手っ取り早いのかもしれない。新世界を言葉で学ぶのではなく、身体で経験していく。
最後に。私は今回ネットで全部読み切った。マーカー引きたいところもたくさんあるので、途中で切り上げて本やキンドルで購入した人も多いと思う。でも、大事なところはスクショで撮ればいいし、内容面白いので一気に読めるし、私は買う必要を感じなかった。お金は「ここでは」払わなくていいや。
でも、西野さん自身の面白さに改めて気づいたし、オンラインサロンやレターポットに関心を持った。好意的な目で西野さんを見ているので、彼が何か他のサービスを提供した際にはドカンと払うかもしれない。ああ、これが無料の効果かと。すぐにお金には変わらなくても、西野さんの「信用」は蓄積されている。面白いなー。
これからは貯金ではなく、貯信の時代。まさに新世界だ。
良い本でした。
