atoiuma’s blog

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セブのジプニーに乗ってみて気づいた私の欲求

先日行って来たセブの話。

 

セブには電車がない。移動は大体タクシーかバイク、あるいは乗合バスであるジプニーになる。

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これがジプニー。ギュウギュウですやん。。。

 

多分日本人は主にタクシーを使うんだと思う。グラブアプリを使えば、簡単に現在地から目的地まで移動できるし、料金は日本よりもずっと安い。去年マニラを訪れた際も基本はグラブタクシーで移動していた。

 

今回、フィリピンの友人の勧めもあって、ジプニーにチャレンジすることにした。暑いの苦手、狭いの苦手な私にはストレスフルだけど、マニラではチャレンジできなかったし、とりあえずおすすめには乗っかっておくべきだということで。

 

ジプニーの使い方

 

大まかにいうと、

乗る→お金を払う→降りるの3ステップ(当たり前)

 

乗る

最初は、ジプニー乗り場に行こう。グーグルマップで検索すればどこに乗り場があって、何番のバスに乗ってどこで降りればいいのかがわかるようになっている。すげえ、グーグルなんでも知ってるな。

 

注意しなくてはいけないのは、100%合っているとは限らないこと。グーグルの指示通りに乗ったけど違う方向へ行っちゃったから慌てて降りた経験がある。ドライバーさんに尋ねてもいいかもしれない、みんな英語できるので。

 

お金を払う

金額がちょっとよくわからなくて、多分距離とかルートによって決まるんだと思う。私が乗ったもののほとんどは、7ペソ(15円)だった。とりあえず10ペソ払えば問題ない。

 

お金の払い方なんだけど、ドライバーさんに近い席なら直接渡す。もし後方で遠ければ、近くの人にお願いする。セブはビサヤ語を使うので、palihug(パリホッグ、pleaseの意味)と言いながら渡してもいいし、excuse meでもいい。みんな事情は知ってるので、すっと受け取ってくれてどんどん前に渡して行く。ちゃんとお釣りも返ってくるから面白い。見ず知らずの人間たちが、いきなりバケツリレーを始めるわけだ。このカルチャーについては後でも書くけど、すごく好き。

 

降りる

降りるときは、運転手に知らせればいい。私が教わったのは、コインで天井近くにある金属のレール(日本の電車でいうと、つり革がくっついてるところ)を叩き、lugar langと言う。もちろんget offでもいい。そうすると止まってくれるので、サクッと降りる。

 

やってみた結果、すごく面白かった!なんか冒険感があった。いいぞ!

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このように空いている時もあります。

 

ジプニー文化から感じるフィリピン人のおおらかさ

ジプニーに乗ってみて、ちょっと驚いたことがある。

 

それは、新しい人がどんどん乗って来たときに、みんな進んで席を詰めること。老若男女問わず、何の抵抗もなしに席を詰め、スペースを作るのだ。その光景が新鮮だった。

 

日本だとどうだろう。例えば電車に乗ったとき、バスに乗ったとき、すっと自然に席が空くだろうか。みんな他人との距離を取りたいし、広々と使いたいから足を広げたり、空間を作っていることが多い。もちろん満員電車なら必ず詰めるが、少々混んで来たくらいでは、0.5人分くらいの小さなスペースが空いてることが多い。女性だと男性の横には座りたくない!なんて思って、立つことを選択している人もいるかもしれない。

 

別にそれはそれでいい。私だって出来ることなら距離を取りたい。でも、ジプニーでは違ったのだ。若い女性ですら嫌な顔をせずぎゅっと詰めるのだ。そのスタイルには驚いたし、いいなあと思った。

 

そんなぎゅうぎゅう詰めの状態で、先ほどのお金渡しゲームが始まる。前から後ろへ、後ろから前へ。

 

すると何が起こるかっていうと、この10人程度の人間たちにうっすらとした繋がりを感じるのだ。別に話すわけでもないし、連絡先も交換しない。もちろん名前も知らない。でも、「全く知らない赤の他人」では無くなっている感じがする。

 

すると、ぎゅうぎゅう詰めの空間がそんなにストレスフルに感じないのだ。ちょっと楽しいくらいだ。

 

そしたら、向かいのおばさんに声をかけられた。どこから来たのかと尋ねられたので、日本ですと。年齢も聞かれたから答えると、

「ええ、そうなの?てっきり20歳かと思った!」と言われた。

いつも30代に見られるので、ガッツポーズ!やった!

 

買い物がストレスだった昔

その昔、引きこもっていた時がある。

 

懸命にリハビリし、何とか外には出れるようになった。次は買い物だ。

 

ところが、レジで物を買うという作業がすごくしんどかった。

 

理由は2つあって、間が持たないのと、どうしても人間的な対応ができないということだった。

 

全くの他人と向かい合って、そのひとが袋に物を入れるのを待っている時間というのが何だか奇妙なものに感じられてしょうがなかった。

 

また、相手は人間なのだから、何かおしゃべりをしなくちゃと当時の私は考えていた。「こんにちは」とか「お仕事大変ですね」とか「すごくいい接客で気持ちよかったです!」とか。ただ無機質に値段を伝え、箸はつけるかスプーンは何本だ、そのあとに形式的な「ありがとうございました」を続ける相手と、それにイヤホンで音楽を聴きながら適当に返事してばさっと商品を受け取るような悲しいコミュニケーションが嫌だった。

 

しかし、普段人と接さずに引きこもっている人間にとって、何か一言発するなんてのは非常に高いハードルで、しどろもどろになったり挙動不審になったり、あるいは無機質に終わらせたり。で、あとで自己嫌悪するという時代があった。

 

当時は、すべて自動販売機で買えればいいのにと本気で思っていた。人が物を売る理由がどこにあるんだろうと考えていた。

 

コミュニケーションをしないなら、相手が人である必要はない。いや、人であるとこっちが疲れる。ロボットの方が割り切れるからずっと楽だ。普段の買い物なら、人間なんていらない。

 

 

 

さて、そんな時代から随分と長い時間が流れて、今ではだいぶ感覚も鈍った。でも、根っこにはまだあるようだ。だからこそ、ジプニーで感じた緩やかな連帯が気持ちよかった。店員さん、運転手、ホテルの受付、クリニックの受付、生活の中で人と交わるシーンは、やっぱり何かコミュニケーションしたい。ちょっと微笑むだけでも全然違う。

 

またジプニーに乗りたい。