atoiuma’s blog

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ザ・ノンフィクション 黄昏れてフィリピンを観て

水谷竹秀さんというノンフィクションライターがいる。彼の「脱出老人」という本を読んで、ファンになった。

hirosweets.hatenablog.com

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今回、その「脱出老人」を原作としたドキュメンタリーが放映されるということで、チェックした。

 

内容

登場人物は2人。

 

1人目はマナブさん、56歳。現地の人も敬遠する苛性ソーダを使ってガラス瓶のラベルを剥がす危険な仕事をしている。給料は一日420ペソ(880円)。亡くなった日本人の友人が住んでいた家を借りて生活している。なお、31歳年下のフィリピン人奥さん(25歳)と、6歳の息子がいる。3ヶ月で現地の言葉であるタガログを学び、習得している。

 

大まかな経歴としては、高校卒業後、警備会社に就職。40歳で退職し、離婚してフィリピンクラブにハマる。そこで出会ったダンサーと再婚するも、借金が500万にまで膨れ上がったので共にフィリピンに移住。奥さんがまだ日本にビザがあるからということで日本に出稼ぎに行き、1年して帰ってきた時にはお腹が大きくなっていたと。そこから一悶着あって、一人暮らしを始める。日雇いで働いているうちにパスポートを失効したという流れ。

 

マナブさん自身は、そこまで日本に帰りたいわけではないと。確かに生活は辛いこともあるけど、自由だと。

 

2人目は、サダオさん68歳。車の中古部品店への客引きが仕事。家はなく、倉庫やオフィスを借りて雨風をしのぐ。収入は一番多くて一日1000ペソ(2100円)。10年前からフィリピンにおり、現地住民からは馬鹿にされている

 

フィリピンにやってきた経緯は、マナブさんと同じく、フィリピンクラブにハマって借金を作る。そこで、ヤクザからフィリピン人女性と偽装結婚をすれば儲かるぞと言われ、フィリピンへ。しかし、それは嘘で、お金はもらえず、その日暮らしが始まったと。

 

面白いのは、エドガーさん(37歳)というフィリピン人男性が、客引きだけじゃなく、家事全般を仕事としてサダオさんに与え、支えているということ。彼いはく、「なぜ日本政府は彼を助けないのか。私が死んでしまったら一体誰が彼の面倒を見るのか」と。この人は一緒に大使館に行って帰国の手伝いをしてくれたりと大変にいい人。すごい人もいるもんだ。

 

ポイント

盛り上がりどころとして、

  • マナブさんと奥さんの関係がお金の問題によって壊れそうになるんだけど(マナブさんの稼ぎだけじゃやって行けないから奥さんが住み込みの仕事を始めて、そしたらそこの社長から口説かれるという事件発生)、奥さんに仕事を辞めてもらうために2倍近い給料の運送業に転職した。うまくいって欲しい。
  • サダオさんが偽装結婚した相手先の家を尋ね、パスポートを回収。日本帰国を夢見るも、飛行機のチケット代が払えないということで玉砕。日本に住む実の兄にお金を無心するも、やんわり断られる。

思ったこと

  • エドガーさんすごい。彼のモチベーションは何なのだろう。
  • マナブさんが、「もし日本に帰国してもきっとフィリピンに戻ってきちゃうと思う」という発言はなるほどなあと思った。フィリピンに慣れてしまうと、日本の生活慣習は息苦しいんだろうなあ。
  • ある程度お金を持った日本人が東南アジアで暮らすという話を聞いても、まあそりゃ出来るよなって思うけど、56歳、68歳という年齢でお金がない状態で異国の地で働くってなかなか出来ることじゃない。自分に出来るかと言われたら、自信ない。もちろんそれ以外に選択肢がなかったというのはあるにしても、それにしたって逞しい。マナブさんなんて3ヶ月でタガログ語を習得し、現地の奥さんを見つけ、子供を作って日々危ない仕事をしているわけで。しかもマナブさん、見る限り不幸そうには見えないんだよね。そんなマナブさんの「俺、ここにおったら、なんとかなるんで」の重さよ。これを見たら、就活がダメだったからもうお終いですと自殺していく学生って超もったいない。就活ダメでもなんとかなるよ。私も頑張ろう。
  • 細かい話だけど、サダオさんが大使館で帰国の手続きをする際、6万3千円のチケット代だけは自腹で出せと言われ、それが無理だから頓挫したというシーンがある。あれ、なんで6万3千円もするのだろうか。ちょっと調べればわかるけど、ジェットスターならマニラから東京まで片道1万数千円で乗れますよ。何か特定の飛行機会社じゃないとダメなのかしら。もしジェットスターでもいいなら、それくらいの金額なら年金生活者のお兄さんでも送金することは可能なんじゃないだろうか、本当に困ったら連絡しろって言ってたし。
  • サダオさん、本当は帰国したくないんじゃないかと思う。日本に帰っても仕事をどうするか、どうやって生活していくか、いろんな問題がある。それだったら、暖かい気候で、エドガーさんがいて、10年以上も暮らしたフィリピンの方がマシだと思っているんじゃないだろうか。
  • この二人は貴重な経験をしている。正直、会って話を聞いてみたいとすら思う。マナブさんとかスマホも持っているのだし、そこにビジネスチャンスってないのかしら。

まとめ

すごく面白かった。

 

追記

放送終了後、視聴者からフジテレビにサダオさん帰国の資金援助の申し出があったようです。すごい。。。

https://twitter.com/takehide1975/status/1132937744806580224