有名ブロガーちきりんさんの本を読んだので感想を。
マーケット感覚を身につけよう---「これから何が売れるのか?」わかる人になる5つの方法
- 作者: ちきりん
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2015/02/20
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- この商品を含むブログ (28件) を見る
最初に
とんでもなく面白い本。ビジネスマンだったりマーケティングをやっている人にとってどうかは知らないけれど、私には発見と驚きの連続だった。読んでて元気が出てきたので、後で自分が読み返すことも考えながら書いていく。長いです。
全部、マーケット。
この世界は、全てがマーケットだ。日常の買い物はもちろんのこと、就職だって、寄付だって、婚活だって、全部が供給者と需要者で価値のやり取りをしている。
ちなみに、この本でのマーケットの定義は、
不特定多数の買い手(需要者)と、不特定多数の売り手(供給者)が、お互いのニーズを満たしてくれる相手とマッチングされ、価値を交換する場所
そして、マーケット感覚とは、
売れるものに気がつく能力
価値を認識する能力
のこと。
価値とは何か
軽自動車=遠い距離を、短い時間で移動できる。
重い荷物を、簡単に運ぶことができる
フェラーリ=豊かに見える。
承認欲求が充たせる。
女性をデートに誘いやすくなる
同じ自動車だけれど、価値は異なる。ここ、むちゃくちゃ面白い。今売れているものが提供している価値とは何か。自分がお金を使ってまで欲しい価値とは何か。商品名に捉われず、掘ること。
需給バランスによって決まる価値
トリュフの金額が高いのは、美味しいからでも栄養価が高いからでもない。ただ単純に、レアだからだ。供給が増えないのに、需要が増えている。だから希少価値が上がって、金額が上がっている。
最近では、博士号を取得した人や、日本最難関の司法試験をクリアした弁護士が厳しい戦いを強いられている。
理由は、供給が増えすぎてしまったからだ。欧米先進国と比較して博士号取得者や弁護士が足りないと考えた国が、学部の定員や試験の合格者数を増やした。ところが、日本と欧米では環境が違う。需要は伸びず、供給だけが膨らんだ結果、厳しい状態に追い込まれたと。
一方、医師は圧倒的な供給不足。高齢化に伴う病気の増加、高齢出産、生活習慣病、精神科医を訪れる人が増えるなどで需要が膨らんだ。よって今、医師はハードな労働環境にある。
一般に、職業の供給数は、市場によって決まる。需要があれば増えるし、無ければ減っていく。ところが、上にあげた博士や弁護士、医師などは、国や業界団体が決める。もしも時代や市場を読むのが下手くそな人が意思決定をしたら、需給バランスは崩れ、めんどくさいことになると。
大事なのは、「最難関の試験だからクリアしたことに価値がある!」とか、「国家資格を取ったから安泰だぜ!」ではなく、しっかりと市場を読み、需給バランスがうまくいってるかを確認する必要がある。
英語は必要?
そうなってくると、英語はどうなるだろう。「世界共通語だし、これから日本は少子高齢化が加速してマーケットも縮小確定なんだから、そりゃ必要でしょ。むしろここからが本番でしょ!」
いや、待てよと。今更日本人が英語を喋れたところで、果たして大きな価値はあるのだろうか。
21世紀になって伸びた国の一つがフィリピンだ。その理由は、彼らが英語を使えることにある。国民の1割が海外で働き、自国に送金するという人材派遣国家になれたのも、欧米の企業がどんどんフィリピンにコールセンターを置いて雇用が増えたのも、全部英語が話せることから始まっている。
加えて、インド人も英語を使えるようになってきた。そんな中で、私たち日本人が英語を使えるようになっても、供給過多の世界に突っ込んでいくことにはならないだろうか。
それよりも、例えば、インドネシア語をやってみるのはどうだろう。人口は世界第4位で2億5千万を超える。経済も発展しているし、資源もある。これから先、観光で日本に来るインドネシア人がどんどん増えるかもしれない。そのときに備えて動いていた方が賢いのでは?今現在、インドネシア語を話せる人は少ないだろうし、ましてや国民の9割がイスラム教徒である彼らを文化ごと理解している人はさらに希少だろう。需要が見込めて、供給が少ない今のうちに、飛び込むのもありではないだろうか。
著者のちきりんさんは、もし今20代だったら、おそらくアメリカではなくインドネシアに留学するだろうと書いている。なるほどなぁ。
選んであげるという価値
世界は今、物と情報に溢れている。その中で選択するということは、調べて自分で決めるのが好きな人はいいが、すごくめんどくさい。その時に助かるのが、信用できる相手に選んでもらえるサービス。洋服を選んでくれるサービスもあるし、ググれば、「新宿でオススメのカフェ8選!」なんてものがたくさんある。そうやって自分の代わりに選んでくれたり、選択を助けてくれるのも立派な価値だ。なるほど確かに。
需要を見つけること
世の中には、面白い会社や仕事がある。
例えば、不満買取センター。1つ10円で不満を買って、それを1つ5円で企業に売る。企業は商品開発やサービス向上のためにお客さんの意見が欲しいのだ。そこに気づいたから生まれた会社。
他にも、最近でいうと、退職代行サービス。文字通り、退職作業を代わりにやってくれるものだ。最初これを聞いた時、なんだそれと思った。しかし、世の中にはブラック会社にボコボコにされて疲弊している人、お金を払ってもいいから二度と会社の人間に会わずにやめたいと思う人がいる。だからこそ、この仕事が成立する。
また、専業主婦が日々の家事の中で発見したアイディアから便利アイテムが生まれ、ドカンと稼いだ人もいるわけで。
世の中を眺めて、生活の中で、問題点を見つける、需要を見つける。これぞ、マーケット感覚。
この視点に立つと、私だってなんとかなるのではないかという気がしてくる。
私が提供できる価値とは?
例えば、元引きこもりという経歴は、就職活動においてはマイナスに働くだろう。しかし、経験者だからこそ、引きこもり脱出の過程を話すことはできる。それは、ある人にとっては価値があることかもしれない。
また、今まで安い料金であちこち旅をしてきた経験も、人によっては価値を持つかもしれない。海外未経験の人たちはまだまだいて、彼らは勝手がわからなかったり、不安を覚えていたり、すごくお金がかかるものだと思い込んでいたり、英語が喋れないと無理だと信じ込んでいたりする。そういう人たちの背中を押すことは出来るかもしれない。
もちろん今あげたものはとても小さいことだし、私しかできない!なんて大層なものじゃない。しかし、そうやって価値にフォーカスして考えることがマーケット感覚だ。
p164 「今、自分を雇ってくれる人はいない」
↓
「今、自分の労働力には値札が付いてない」
↓
「だから、自分には価値がない」
という発想では、誰かが値札を付けてくれるまで、自分で自分の価値が認識できません。
価値を探す筋肉をつけよう。
まとめ
長い文章になってしまった。他にも面白い視点や情報がたくさん詰まっているので是非とも読むべき。私はこの本から希望をもらった。
それにしても、ちきりんさんやっぱりすごいわ。そりゃ有名ブロガーになるわけだ。折に触れて読み返してマーケット感覚を鍛えていきたい。