atoiuma’s blog

人生あっという間。マイペースにおもしろく。

生きるとは、自分で選択していくこと。

前々からずっと読みたいと思っていた幡野さんの新刊を入手した。

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ぼくたちが選べなかったことを、選びなおすために。

ぼくたちが選べなかったことを、選びなおすために。

 

 

この文章を書くのは、2回目を読み終えた後になる。

 

いつもは1回読んですぐに書くのだけど、この本はちょっと内容が重かったし、1回読んだだけじゃ消化しきれなかったので。

 

幡野さんの紹介は、ほぼ日の記事を読んでいただければ。

www.1101.com

 

他に、ブログや人生相談などたくさんテキストがあるので興味がある人はググってください。幡野さんの文章の嘘の無さ、切れ味の鋭さに驚きます。

 

内容

最初の方は多発性骨髄腫になり苦しんだ過程が描かれている。自殺を考えるほどの痛み、、、癌になって1年以内に自殺する確率は健常者の24倍というデータもあるそうだ。当事者にしかわからない世界。

 

病をブログで公表すると、いいメッセージも悪いメッセージも届いた。その中には、引きこもりやDV、アルコール依存症などで苦しむ人たちからのものもあった。興味を持った幡野さんは、彼らを取材することに決め、旅に出た。

 

そこで出会った30人以上の中で、代表して3人の方のお話を掲載。これがまたどれも重いもので読んでいてズシンとくる。

 

取材を続ける中で、多くの人の問題には、人間関係、特に「家族」の問題があることがわかった。家族内に問題を抱え、それがいろんな形でストレスとなって健康を蝕んでいる。

 

一体、家族とはなんだろう。愛するべき人たちの集まりじゃなかったか。幸せな集団じゃなかったか。

 

NASAの家族の定義

NASAには、「直系家族」と「拡大家族」という2つの家族の定義がある。シャトルの打ち上げ時に特別室に入れるのは宇宙飛行士の直系家族のみで、拡大家族は入れない。

 

直系家族とは何か。「配偶者、子供、子供の配偶者」のみ。親や兄弟はそこに加わらない。それらは皆、拡大家族に該当する。

 

つまり、NASAは、家族の最小単位はパートナーだと位置付けたということ。先天的に与えられた「親、兄弟」は、そこに該当しない。

 

人生とは、自分で選択するもの

親が毒親だったら、切ればいい。いつまでも彼らの子供として自分を抑えてバランスを取る必要はない。親不孝と世間に言われたって気にするな。人生は自分で決めるのだ。

 

それが、幡野さんからのメッセージだ。

 

幡野さんはご両親とあまりうまくいかなかった。それでいい。私もうまくいかない方だった。世間は無神経に「親孝行しないとね!」とか「親が生きているうちだよ、あんたが大きくなったのはお父さんお母さんのおかげなんだから」と言う。そんな人たちがイメージする親と大きくかけ離れた親は、確実に存在する。その元に生まれた子供たちにとって、親孝行をしろと促す発言は、暴力だ。わかる人には、わかるはずだ。

 

人生は、自分のために。先天的なものはなるべく無視して自分で人生を切り開いて行こう。学校を選び、仕事を選び、パートナーを選ぶ。人生は、選べる。そして、最後は、死の形だって。

安楽死という選択

日本では、安楽死は違法だ。医師が薬物を投与すると殺人罪、患者さんが自らの意思で投薬しても、嘱託殺人の罪になる。許されているのは、尊厳死とセデーション。

 

尊厳死とは、人間の尊厳を守ろうというもので、スパゲッティ症候群(身体中に管をつなげられている状態)からの延命治療を中止したり、控えて死を迎えるもの。セデーションは、投薬で意識レベルを低下させ、数日後に死を迎えるもの。この2つなら、日本でも可能だ。ただ、セデーションは家族の同意が必要だし、医師のジャッジ次第なので、もたつくこともあり得る。その点でやはり、安楽死が一番確実。

 

幡野さんは、スイス安楽死協会に登録している。世界で唯一、スイスだけが外国人の受け入れをしているのだ。ここでは、患者さんが自らの意思で投薬を開始する自殺幇助のスタイルが行われている。

 

幡野さんにとって、安楽死は安心材料だ。自殺を考えるほどの痛みがまたやってきた時、いざとなったら死ねるんだと考えると楽になる。

 

幡野さんが目指すもの

今、幡野さんはとにかく自分の直系家族である奥さんと息子さんのことを考えている。自分が無くなった後に周りにいる親類や友人知人が、悪意のない言葉で彼らを追い詰めないように、人間関係の整理をして亡くなろうとしている。周りの適当な言葉に騙されないよう、息子さんには膨大な量の写真や文章を残している。人が語る像は無視して、ただお父さんの作品である写真を、文章を読んでほしい。その表現がお父さんだ。お父さんは君のことを天国で見守ったりせず、好き勝手にやってるから、お前も好きに生きろ。

 

まとめ

幡野さんの嘘のない言葉に、救われる人、気付く人、考える人がいっぱい出てくると思う。すごく価値のある文章だ。

 

個人的に一番驚きだったのは、NASAの家族の定義の話。そうか、確かに親や兄弟は選べなくても、パートナーは選べる。自分で人生は選択できる。生まれて初めて、家族を持つということに関心が湧いた。

 

自分の人生、選んでいこう。元気をもらった。

 

ちなみに、安楽死については先日ドキュメンタリーを見たのでその記事も良ければ。

hirosweets.hatenablog.com