V字回復を遂げたと言われる今ホットな街、熱海に行ってきた。
いつもみたいに「熱海は〇〇だった」「熱海の〇〇が美味しい」みたいな書き方でもいいんだけれど、今回はちょっと旅日記風に書いてみた。読みたいことを、書けばいい。
結果、9000字も書いてしまった。こんな長文誰が読むのだろうか。不安だ。。。
新宿から熱海まで、最安で1284円で行けるのには驚いた。まずは小田急線で小田原まで行き、そのあとはJR東海道本線で熱海まで。2時間近くかかるけど、でも1284円だ。仕事を失ったばかりの私にはありがたい。ちなみに、最速で行く方法は、品川まで行ってそこからこだまに乗る。すると、全部込みで1時間ちょっとで到着する。料金は4390円。お金が余って余ってしょうがない人はこちらがおすすめ。
電車内は、ひたすらに読書していた。
既に2回訪れたしょぼい喫茶店。本はどうしようか迷ったけれど、せっかくだしということで購入して読んだ。ものすごく面白くて、あっという間に読み終えてしまった。苦しいことは少ない方がいいに決まっているけれど、人生を物語として捉えてみると、それは必ずしも悪いものじゃない。むしろ、そこからいかに盛り返すかが物語の肝だったりする。立つんだジョー!立つんだ私!きっとすぐに次の就職先が見つかるさ!細かい感想はまた別の機会に。
そうこうしているうちに、熱海に着いた。賑やかである。
駅前にある、家康の湯と呼ばれる足湯。もちろん無料。カップルから親子連れ、大学生の集団まで様々。ああ、世間は夏休みなんだなぁ。キラキラしているように見えた。少しでいいからそのキラキラを私にも分けて欲しい。なんで私は一人なのだろうか。
足湯でリラックスしたあとは、宿に向かって歩く。目指すは、戸越銀座だ。いや、間違えた。熱海銀座だ。危ない危ない、暑さで朦朧としていた。今更東京へ折り返して東急池上線に飛び乗るわけにはいかない。交通費がもったいない。
平和通り名店街入り口を通る。平和で、しかも名店が連なるストリート。ハッピーの香りしかしない。
ほら、やっぱり。ハッピーの香りに人は集まるのだ。思っていたよりもずっと人がいて驚いた。混んでいるところは苦手なので早く抜け出したい。全然ハッピーじゃない。
8月下旬の暑い中、重い荷物を背負って、たった一人で、人混みをかき分けるように突き進む。ストレスが溜まってきた。甘いものが欲しい。甘いものはいつだって私の味方だ。無条件に私を包み込んでくれる。しかも、人間と違って裏切らない。女性と違っていきなり別れを告げてきたりもしない。ああ、信じられるのは甘いものだけだ。これからもスイーツ男子として甘いものを愛して生きていこう。。。一体なんの話をしているのだろうか。全部夏のせいだ。
すると、一つのお店に目が止まった。
わお、美味しそう。一楽プリン、君に決めた!
店内でも食べることができるとのこと。やったぞ!重いバックパックを下ろし、パシャパシャと撮影をして、さあいよいよ実食だ。ああ美味しい!疲れた体に染み渡る。お茶まで頂いてとてもありがたい。店員さんの対応が朗らかで心も癒される。これぞ至福の時間。。。10秒で完食した。
さて、あまり時間もないのだ。重い腰を上げて、再び熱海銀座を目指す。足を踏み出さなければ一歩も前に進まない。歩かないとしょうがない。タクシーに乗るお金なんてない。
坂を下っていくと、海が見えた。普段なじみがない海を見ると、やはり気持ちが盛り上がってくる。
毛むくじゃらの建物もあった。
そして、熱海銀座に到着した。達成感がある。お腹減った。
「この通りに店を出したい」「熱海銀座に住めたらかっこいい!」
熱海銀座はかつて、地元民の憧れの場所だった。ところが、熱海が落ち込んでいくにつれて活気を失い、2011年の段階では、3分の1にあたる10店舗が空き店舗になってしまった。いわゆる、シャッター商店街である。
その状況を憂いた市来さん率いる株式会社machimoriが、2012年にCAFE RoCAというカフェをオープンした。熱海で生活する個性的で面白い人たちが集まれる第三の居場所が必要だと感じたからだ。面白い人たちが分散していてもグルーヴは生まれない。集まって繋がりを作ることで、街は生まれ変わるのではないか。
結果、これをきっかけに人が集まるようになった。様々なイベントが行われ、お店をリニューアルする人、新しく店を開く人なども現れてきた。面白いと思える店が1軒あると、次がまたできる。そうやってどんどん気持ちのいいグルーヴが生まれ、街が活性化していくのだ。
現在CAFE RoCAは閉店し(熱海銀座活性化には貢献したが、経営的には赤字だった)、今は「RoCA」という名前でシェア店舗として運営されている。ジェラート屋さんが入ってると聞いて、スイーツ男子は胸が高鳴る。
おしゃれな外観だ。表参道にあってもおかしくない。こんなオシャンティーな場所に、半袖短パンサンダルに加え髭もじゃの私が入っても大丈夫だろうか。通報されないだろうか。。。
いかん、ダメだ。今は空腹を満たすことが最優先だ。「昼飯はプリンとジェラートです💖」じゃシャレにならん。私は女子高生じゃないのだ。
というわけで、散策。すると、一つの店が目に止まった。
可愛い外観と2ndという名前が素敵だ。熱海プリンってなんだろう、名物だろうか。随分とお客が並んでいる。並んでまで食べたいプリンか、気になるな。じゃなかった、私はご飯を探しているのだ。次!
さらに歩くと、また気になる店が。
いや、夜のお店やんけ!次!
熱海銀座おさかな食堂というネーミング。そしてこの行列。これはもう美味しいに決まっている。そして、かなり待つことも決まっている。ダメだ、待てない。次。
くどいですか?そろそろ終わりにします。ということで、お蕎麦を食べることにした。ラーメンより蕎麦派。うどんより蕎麦派。そんなヘルシーな私がなぜ太っているのかがわからない。世界は謎に満ちている。
これはとっても美味しそうだ。君に決めた!
バーのような雰囲気。ボロいバックパックを背負ってきた自分の場違い感が凄まじい。しかし、気にしてはいけない。大丈夫、お金はちゃんと持っている。そして何よりも、お腹が減っているのだ。もう動きたくない。
おばさま達がてんやわんやで働いている姿を見て、やっぱりランチ時は大変だよなあと飲食店で働いていた昔を思い出した。すると、おばさまが何かを落としてバツが悪い顔をしている瞬間をたまたま目撃してしまった。目が合う私たち。「あら、恥ずかしいとこ見られちゃった!てへぺろ💖」と笑うおばさま。その人間味がなんだか気持ち良かった。そうこうしているうちに蕎麦が到着した。
おろしの下には金ごま。そこにめんつゆをぶっ込んで、蕎麦を浸して食べる。おろしが効いていて美味しい。あっという間に平らげた。隣の男性が美味しそうにサクサクの天ぷらを食べていたので、次はそっちもチャレンジしたい。
さあ、腹ごしらえもしたし、良い感じの時間だ。宿に向かおう。重い荷物をぶん投げて楽になろう。
ということで、到着したのがゲストハウスMARUYA。熱海銀座商店街に面している。
とても解放感のある広い玄関。狭いところが苦手なのでとても気持ちがいい。外見もクールだ。
先ほど紹介したCAFE RoCAの目的は、地元民の熱海熱を盛り上げること、面白い熱海の人たちを集めてグルーヴを作ることで、それは成功した。次に必要なのは、熱海の外から人を呼び込むこと。そこで2015年に生まれたのが、このゲストハウスMARUYAだ。
元々はパチンコ屋が入っていた場所で、そこが撤退して以来10年間も空き店舗になっていたスペースをリノベーションして作られた。100坪もあるだけあって、中はすごく広くてゆったりしている。素敵な空間。
ここで朝、干物を炙って食べるのだ。後で書くけど、とっても美味しい。
解放感のある共有スペース。ソファがすんごく気持ちよい。本もたくさんある。
MARUYAの特徴として、熱海の街を味わえる仕組みが挙げられる。例えば、宿泊者には熱海銀座周辺の手作りマップが配布される(この出来がすごくいい!)。それを見ながら街を歩き、気に入ったお店を訪ね、物を買い、飯を食い、スイーツに癒される。その過程で地元の人との交流も生まれる。自然と熱海が自分の中に入ってくるのだ。
また、朝食付きプランを頼むと、ご飯と味噌汁が支給される。おかずは、熱海名物の干物だ。MARUYAの向かいに何店か干物屋さんがあるので、そこで自分が気に入ったものを購入し、MARUYA内のコンロにてじゅうじゅう炙って食べる。こんな経験はなかなかできない。
ただ宿に泊まってゆっくりするのではなく、なるべく熱海を感じてもらいたい。チェーン店ではない喫茶店、食堂、酒場の良さを味わってほしい。そして地元の人との交流を楽しんでほしい。それがMARUYAの目指すサービスなのだ。
そしてもし熱海が好きになったなら、移住まではしなくていい、月に1回でも遊びに来ませんか?という2拠点生活のススメ。普段は都心で忙しく生活し、週末は熱海でゆったりとした時間を過ごす。熱海の人と一緒にビジネスを始めてもいい、お気に入りのバーを見つけて通いつめてもいい、ゆっくり温泉に浸かりに来てもいい。そんなライフスタイルを提案している。
さてさて、長くなってしまった。とりあえずゲストハウスに着いたのだった。
今回私は、まちあるきというイベントに申し込んでいた。ゲストハウスのスタッフが小一時間ほど街を歩いて歴史やお店の説明をしてくれるもの。普段こういうものには参加しないのだけど、熱海という街に関心があったので応募してみた。結果、参加者は私一人。まさか初対面のスタッフと熱海銀座デートをすることになるなんて思ってもみなかった。ちなみに相手は渡辺さんという男性。さぞやがっかりされたことだろう。私も同じ気持ちだ。
重い荷物をぶん投げて、男二人で街歩きに出かける。渡辺さんは博識な方で、細かい知識を西暦から名前から全部暗記していた。その記憶力、羨ましい。いろんな話を聞いた。ほとんどの日本人が熱海という地名を知っているのは、徳川家康のおかげらしい。彼が熱海の温泉に入り、その良さに感動してあちこちに触れ回ったことが大きいと。ちなみにその家康が愛したとされるのが、大湯。なんとも興味深いではないか。MARUYAから歩いて5ー6分でいけます。
また、熱海には沖縄の寒緋桜と並んで日本列島で最も早咲なあたみ桜がある。1月から咲き始めるらしい。へー、全く知らなかった!桜って冬でも見れるのか!興味が湧いた。
あれ、これってすごい情報なのではないか。あたみ桜の認知度がどれだけあるのかわからないが、私のように存在を知らない日本人もいるのではないか。冬でも見れる桜という情報は、積極的にPRしたら人が来るのではないか(常識だったらごめんなさい)。
さらにいうと、インバウンド(外国人観光客)にも有効だと思う。実は熱海、インバウンドが弱い。ゲストハウスMARUYAにおける海外勢の宿泊率は、2割程。海外で熱海は認知度が低く、富士山に行く途中の人がたまに泊まりに来る程度らしい。実際私も熱海に来てみて、外国人の数が少ないと感じた。浅草でも新宿でも秋葉原でも外国人は沢山いるし、英語や中国語がバンバン聞こえてくるけど、熱海はほぼ日本語だ。イチャイチャしたカップルの会話とか聞いてるとマジイラつく。
日本人にはもちろんのこと、外国人にとっても桜は魅力的なコンテンツ。私も含め「桜は春のもの」というイメージがあるが、「日本一早く咲く桜!冬でも見れます!」と情報発信すれば、集客が見込めるのではないか。東京からも近いから、沖縄よりアクセスの点で優位に立てるし。繰り返しますが、常識だったらごめんなさいね。
さてさて、そんな熱海おもしろ話を聞けたわけなのだが、ガイドを務めていただいた渡辺さんという方もまたおもしろい人であった。なんでも学生時代は宇宙物理を研究していた理系の人で、そこから人間の本質とは何か、人はなぜ生きるのかを知りたくなって、たどり着いたのが恋愛だったという。で、今は毎週水曜日に宿で恋愛相談を行なっているとのこと。なるほど、わかるようでわからないようでちょっとわかる気がする。詳しいことは本人に聞いてみよう。
渡辺さんと会話していた時に何か違和感があったのだけど、その正体が「沈黙」だと知って腑に落ちた。確かに人と人とが向き合っている時に沈黙は気持ちが悪い。そうやって本音を引っ張り出す技術があるのか。勉強になった。
奥様と5年間喧嘩ゼロ!?そんなことがあり得るのだろうか。人として不自然だ。きっとどちらかが菩薩に違いない。
興味がある人は、ぜひ水曜日にMARUYAに泊まって恋愛相談してみよう(記事では火曜日となっているけれど、現在は水曜日です。お間違いなく)。それが無理な人は、ポッドキャストを聞いてみよう。渡辺さんと奥様のトークが聞ける。それにしても、面白い活動だなぁ。ぜひ一度私も恋愛相談に乗ってもらいたい。何か面白い気づきがあるはずだ。
さてさて、町歩きが終わって、チェックインを済ませる。さあ、これからどうしよう。
男二人の熱海銀座デートをしてしまったので思ったよりも体力を消費した。とりあえず何か食べよう。そこで、渡辺さんオススメの「サバサンド」を食べることに。MARUYAカフェにて。
サバサンドとは何か。ちょいと固めのパンにたっぷり脂の乗ったサバがサンドされており、レモンが少々。これがとっても美味しかった。サバってこんなに美味しかったっけ。ご機嫌になった。渡辺さんありがとう。
元気になってきたので、熱海銀座マップを見ながらブラブラ街を歩く。すると、歴史を感じさせる建物が目に止まった。
大正7年(1918年)創業の老舗ときわぎ。建物の雰囲気がもうかっこいい。入るしかない!
きび餅やうぐいす餅など美味しそうなものがたくさんあったが、常盤木というお菓子を買ってみた。初めて見たからだ。
周りが砂糖で固めにコーティングされている羊羹。食感が面白かった。味も良い。お土産にいいかもしれない。もちろん一人で全部食べきった。
さあて、次はどこに行こうか。マップを眺めていると、モンブランというお店を発見した。モンブラン!?モンブラン愛好家として、これはもう無条件で行くしかない!押忍!
もちろん注文するのはモンブランだ。さて、熱海のモンブランのお味はいかに。。。
あれ?何これ?
え、これモンブラン?
実食。うん、なるほど。これはモンブランではない。
気になる正体は、お酒が染み込んだスポンジに、クリームが乗っているケーキだった。どこにもマロンペーストが存在しない。しかし、味は美味しい。20秒で完食した。
「すごく美味しかったです!あっという間に食べちゃいました!」
「あら、もう食べちゃったんですか!ありがとうございます」
「あのですね、ちょっとお伺いしたいんですが、これってモンブランですよね?」
「はい、モンブランです。他の店とはちょっと違いますけど」
「そうですよね、普通のモンブランじゃないですよね。これが熱海のモンブランスタイルなんですか?」
「いや、この店独自のものなんです。すみませんね、説明しなくて」
「いえいえ、オーダーする時点でこれは私の知っているモンブランじゃないなあと思っていたので。でも、ほんと美味しかったです。ご馳走様でした!」
というわけで、モンブランのモンブランは、私の知っているモンブランじゃなかった。こういう経験が好きだ。
和菓子を食べて、モンブランを食べた。やはりスイーツ男子だけあって、油断するとすぐに糖分に走る。まずい。これではまるでタピオカミルクティーを主食にしている女子高生と一緒ではないか。あれってすごく流行っているけれど、糖分量とカロリーが凄まじいらしいぞ。私の知人は毎日2杯ほど飲んでいて、気づいたら体重3桁超えてて悲鳴をあげていた。いやいや、もっと早く気づけよ。。。みんなも気をつけたほうがいい、明日は我が身だ。特に女性は、学校や仕事のストレスをそこにぶつけるとあっという間に美貌が崩れるよ。溺れるならタピオカの海じゃなくて、恋愛がいいと思う。いや、恋愛も溺れちゃまずいか。ちなみに、体重3桁超えた話はあくまで知人の話であって、私のことではない。
いきなり大量のデカ文字文章を書いたらお腹が減ってしまった。しっかりがっつり食べたい。そこで、またもや渡辺さんオススメの大衆食堂、雨風食堂へ。
ああ、素晴らしいメニューだ!そうだよ、こういうがっつり定食系を待っていたんだよ!甘いものはもういらない。見たくない。
どれも美味しそうだったが、今回はチキン南蛮定食にする。うわあ、美味そう!
食べる。うまうま!やっぱり日本人たるもの、白米である。そばもパンもいいが、ビシッと決めたいときはご飯。甘いものなど論外である。たっぷりのタルタルソースも嬉しい。
すると、店員さんからヌードルと卵焼きのサービスが。ええ、いいんですか?!ありがとうございます!嬉しいわぁこういうの。
少しおしゃべり。熱海がV字回復したと聞きましたが、実際どんな感じですか?
「うーん、栄えているのは駅前かなぁ。日帰りのお客さんが多くて、こっちまで下りてこないのよね。だからあんまり変わってないかなあ」
あら、思っていたよりも寂しい返事だ。そういえば渡辺さんも、これからが正念場みたいなことを言っていた。私が勝手に本を読んで「V字回復!すげえ!」なんてはしゃいでいただけで、現実はそう簡単じゃないらしい。
ご飯を食べ終え、そろそろお暇しようと思ったら、デザートが出てきた。もちろんこれもサービスである。重ね重ね、ありがとうございます。やっぱり甘いものって最高ですね。
ご飯美味しいし、スタッフの方の感じもいいし、何よりいっぱいサービスしてくれた雨風食堂さん。どうもありがとうございました!こういう接客を受けると、リピーターになるよね。次は唐揚げ定食が食べたい。それにしても、渡辺さんのオススメはハズレがないな。
飯を終えたら、いよいよ花火だ。海辺から見るのがオススメと聞いたので、向かう。
花火が20時20分から。現在、18時前。2時間以上ある。一回宿に戻ろうかとも考えたが、じわじわとカップルが集まって場所取りを開始している。これは今ポジション取っておかないと、後で泣くことになるかもしれない。腹を決めて、腰を下ろした。
みんなシートと簡易な椅子を持ってきて席を確保し、ビールで一杯やりながらだべっている。なるほど、実に快適そうで羨ましい。私はというと、硬いコンクリートの上に直に座っている。晩ご飯をたんまり食べたので、睡魔が襲ってきている。だんだんとお尻も痛くなってきた。手元にあるのはぬるくなった水のみ。おしゃべりする相手もいない。せめて本を持ってきていれば良かったのだが、重い荷物は全部宿にぶん投げてきた。
なんだろう、この格差社会は。何か私が悪いことでもしただろうか。いや、してない。私はただ一人で寂しく熱海の花火を見にきただけだ。負けるわけにはいかない。眠くても、お尻が痛くても、カップルに囲まれていても、負けるわけにはいかないのだ。ああ、しっかり準備してくれば良かった。
グダグダ言っててもしょうがない。2時間という長丁場を乗り切るしかない。渡辺さんのポッドキャストを聞き漁ったり、田中泰延さんの街角のクリエイティブを読み漁ったり、前田将多さんの月間ショータを読み漁ったり、ほぼ日を読み漁ったりしていた。漁り尽くした2時間だった。
そんなこんなで、いよいよ花火の時間が近づいてきた。
20時20分、カウントダウンが始まった。ロマンティックのロの字も知らない私でも、心がときめくのを感じた。3、2、1、どかーん。
花火を生で見るなんて10年ぶり。すごく綺麗だ。花火ってこんなに綺麗だったのか。。。
30分という時間があっという間に過ぎていく。そして、フィナーレ。
花火のイメージって、暑い中アホみたいに人が集まって、大変ストレスフルな環境で見るものだと思っていた。暑いのも人混みも苦手な私にとっては価値が低い。ところが、熱海のそれは実に快適だった。風は涼しいし、人が多いといってもたかが知れているし、座ったままフルサイズで見ることができる。快適な空間から眺める花火は、それはもう格別だった。睡魔とお尻の痛みと孤独に耐えた価値があった。
来夏も見にきたいな。その時は、誰かと一緒に来よう。もし恋人も友人もいなかったら、レンタルなんもしない人さんと一緒に来よう。
花火が終わって、時間は21時。東京だったらまだまだ夜はこれからだ!だけど、熱海銀座商店街は閉まっている店が多い。少し寂しいが、心地よくもある。北の国からで吾郎さんが言ってた。「夜になったら、寝るんです」
帰路につくと、日中見かけて敬遠したRoCAがまだ空いていた。閉店時間は21時とある。これはもう迷っている場合じゃない!飛び込んだ。
うわ、美味そう!やっぱりスイーツは最高だね!見ているだけで元気が出る!
ほうじ茶とミルクティーの味を注文した。ほうじ茶がめちゃんこ美味しかった。フレーバーが本気。鼻に抜けるかほりが凄まじいので、興味ある方はぜひ。
というわけで、長い1日目が終了。おつかれさまでした。読むの、疲れたでしょう。今日は早寝して体を休めてください。
こんだけふざけた文体は初めて。こんだけ長い文章も初めて。そして、こんだけ楽しく文章が書けたことも初めてだった。なので、個人的には満足している。
後編に続く。