89冊目。
自分の中に毒を持て―あなたは“常識人間"を捨てられるか (青春文庫)
- 作者: 岡本太郎
- 出版社/メーカー: 青春出版社
- 発売日: 1993/08/01
- メディア: 文庫
- 購入: 58人 クリック: 968回
- この商品を含むブログ (251件) を見る
岡本太郎の名著。
この本に出会ったのは私が20とちょっとの頃。冒頭から
人生は積み重ねだと誰でも思っているようだ。ぼくは逆に、積み減らすべきだと思う。
と始まる。この一節から引き込まれていって、どんどん出てくる岡本太郎の熱量のこもった言葉たちに魅了された。時に笑い、時に衝撃を受けながら読んだ。
「人の目を気にしないで、自分の目からも自由になって、動けばいいんだよ」
当時思春期の暗黒界をさまよっていた私は、そのセリフに感動した。そこからは小学生の頃から先生に指摘され苦手意識しかなかった絵を描き始め、岡本太郎美術館を訪れ、記念館も訪問し太郎の息吹を感じ、そして大阪の太陽の塔も見に行った。渋谷の京王線の入り口にある明日の神話ももちろん。
たまに人から行動力があると評されることがあるけれど、その入り口には岡本太郎の影響があると思う。人の目も自分の目も気にしないでただ動く。下手でいい、むしろ下手な方が面白いじゃないか!この考えは臆病で怠惰な私を動きやすくしてくれた。もちろん彼みたいに血を流しながらにっこり笑うんだ、までのレベルには到達できないけれど。
そんな岡本太郎の本を、久しぶりに手にとって読んでみた。
あー、やっぱり面白い。前に読んだ時よりもずっと文章が入ってくる印象。それはきっと私自身が以前より解放されているからだろう。あるいは、先日の大恋愛(どうしても働きたい会社を見つけ、必死にアクションした)の経験がそうさせたのか。とにかく楽しい読書になった。
今回読んでいて一番響いたのが、「駄目になってやろう」という言葉だった。うまくやろうとすることは卑しいし、実際にそれだとうまくいかない。いっそのこと駄目になってやろうと決める。そうするともりもり力が湧いてくるし面白いだろ!と太郎は主張している。
確かにそれはあるなあ。ここんとこずっと就活をしていて、つまりそれは相手に気に入られるためのゲームである。相手はどんなタイプが好みなのかをサーチし、いかに自分がふさわしいかを説明する。そしてさらに、お付き合いした暁にはどんな特典があるのかもプレゼンする。全ては気に入られるため。
そんな活動を数ヶ月続けて、ようやく大本命を見つけてアタックした結果砕けちった今の私には、「駄目になってやろう」は染みる。甘美な響きだ!
ということで、残り少ない2018年、駄目になってやることにした。精一杯駄目になってやろう。
久しぶりに岡本太郎記念館にも行きたいな。