5月16日に金沢21世紀美術館で行われたトークショー。配信期限が今日のお昼までだったので急いで購入し、視聴した。ギリギリセーフ!
構成は前半が2人のトークショー、後半がゴッチのソロライブ。どちらも素晴らしかった。
アジカンのCDジャケットは全部中村さんが手がけている。これはとても珍しいことらしく、大体途中でデザイナーを変更するらしい。互いにリスペクトしている関係性が見て取れて、心地よかった。
「GLAYやラルクなどのルックスが流行ってる世間への反発で、カジュアルな格好をしていた」というのは初めて聞いた。なるほど、そうなのか!素晴らしい!もし彼らと同じようなファッションをしていたら、私はきっと興味を持たなかったと思う。
私がアジカンを好きになったきっかけは多くの人と同じで、リライトから。たまたまつけた音楽番組で流れているのを見て、「一見弱々しい兄ちゃんが大声を出して歌ってる!しかもかっこいい!」というのが第一印象だった。名前が長いし英語だから覚える気もなかったんだけど、この時期他にもバンバン曲を出しており(ループ&ループ、君の街までなどなど)それがどれもいい曲でこれは本物だ!ということで、メモしたのだった。それからずっとファンをやっているんだから飽きっぽい私にはとても珍しい。もう10年以上になる。今だってほぼ毎日聞いてるんだから驚き。
二人が若い時と今では大きく環境が違う。特に、ネットの有無が大きい。当時は、音楽情報を持っている人がカッコよく、部屋にたくさんCDを持っていることがステータスだったらしい。そんな時代があったんだ。印象的だったのは、「今の時代は言い訳ができない」という中村さんの発言だった。昔はネットが無く、発表の場もなかったが、今では誰でも簡単に世界に作品を発表できる。音楽制作やパソコンで絵を描くことのハードルもグッと下がった。地方在住でも、ネットがあれば表現ができる。やりたいことがあれば、それを実現できる手段がある。「できない」がないから、言い訳ができない。そう考えると、今の時代って本当に「自分次第」だなと。やりたいことがある人にとっては過去最高に恵まれた時代だと言えるし、ふわふわしている人はあまり恩恵を味わえない時代なのかもしれない。
ゴッチが政治的な発言をし始めたのは、確か東北大震災があった2011年から。Future Timesという新聞を発行したり(これで坂口恭平の存在を知った)、脱原発運動を展開したり、自分のアカウントでお金を集めて東北に支援物資を送ったりしていた。私はこの活動に肯定的で、自分が社会に関心を持つきっかけにもなった。けれど、一部のファンからはバッシングを食らったようだ。音楽だけやってろ的な。それでも姿勢は崩さず、今でも問題意識を持ち続けて活動しているのはカッコいいなあと思う。やっぱり海外のミュージシャンたちとの交流も大きいのだろうか。
さてさて、後半戦はゴッチのソロライブだ。アジカンの曲をゴッチソロで聞ける機会は珍しい。
嬉しかったのは、一番好きな曲「ブルートレイン」が聞けたこと。引きこもっている時によく聞いたお守りみたいな曲。サビの歌詞に何度励まされたことか。。。ちなみに、この曲を作った当時は、アルバム「ソルファ」が予想を大きく超えて大ヒットしてしまい、精神が不安定だったらしい。精神を病んでいる時に作った曲が、引きこもっていた私の心を動かしたというのは面白い。ブルートレインが収録されている「ファンクラブ」は全体的に暗めの曲が多いが、私は好き。タイトロープとか最高。本当に消耗しきってぶっ倒れてる時って、明るいものとかポジティブなものは役に立たない。真っ暗闇が徐々に明るくなっていくような、うっすらとした希望が生きる支えになる。「ファンクラブ」は、そんなアルバム。
というわけで、素晴らしいトークとライブだった。人混みが苦手だから基本ライブには参加しないんだけど、コロナが落ち着いたら一度参加して久しぶりに生歌を聞きたい。
まだまだタフな時代が続くけど、なんとかサバイブしていきましょう。やることやらねば!