atoiuma’s blog

人生あっという間。マイペースにおもしろく。

60歳を過ぎても青春できる国

74冊目。

すごく面白かった!今年読んだ本の中でベスト5に入る名作です!水谷さんの本は2冊目だけれど、ファンです!

 

感想の前に

 

51冊目に水谷さんの脱出老人という本を読んだ。フィリピンに行く前に少しでも現地のことを学習したくて。そしたら、すごく面白かった。

 

このブログに感想を書いてないので改めて記すと、本書は60歳を過ぎて引退した後、フィリピンに移住した日本人たちを中心に取材したノンフィクション作品。フィリピンのことがわかる本であると同時に、「高齢者の幸福論」にもなっている。

 

人は誰でも老いる。学生時代は退屈だとか面白いことねえかなーなんてのんびりやっていても、20歳を過ぎるとだんだん命の有限性に気づいてくる。Can't forever youngだよ、人は老いるしいつか死ぬ。割とあっという間に。高齢者の幸福論は決して人ごとではない。

 

フィリピンでは60歳を超えても、ある程度のお金があれば青春できる。本書には、そんな世界がたくさん紹介されている。30歳、40歳差のカップルも珍しくないそうだ。中には74歳でフィリピン人妻を妊娠させたものもいるという。わお!さすがにそれはどうなんだろう、子供のことを考えたらしんどくない?って思うけれど、とにかくここでは引退後に青春できる。だから、生き生きしている。

 

もちろんそこには「お金」というものが介在している。それは男性陣もわかっている。でも、日本にいてお金があっても若い女性は来ないでしょう?社会で活躍できる場所も少ないし、同級生はどんどん亡くなっていく。孤独死する高齢者はたくさんいる。ちょっとでもボケが入れば施設だ病院だに連れて行かれる。居場所がない人も多い。

 

だったら、お金が介在していても、お金目当てだったとしても、若い女性と恋愛し、結婚し、家族を作った方がハッピーじゃないか。それはそれで一つの生き方だ。

 

面白かったのは、フィリピンには高齢者老人ホームというのがほぼないらしい。なぜなら、フィリピンでは家族で面倒を見るのが当たり前だから(最近の経済発展によりこれからはそのカルチャーも少しずつ廃れていく見方もある)。彼らの家族愛は日本のそれよりもずっと強い。国民の1割が海外に出稼ぎに行くこの国では、外貨を稼いだ後しっかりと家族に送金する。日本に来ているフィリピンパブ嬢の人もそうだ。そうやってフィリピンの経済は回っている。

 

そんな事情から、フィリピン人はホスピタリティがあると言われている。病に倒れて入院しても、なんだかんだで女性が見舞いに来てくれる。それがすごく嬉しいと。なるほどなあと思うわけです。

 

もちろん引退した後に海外生活というのはなかなか大変なことでもある。台風はよく来るし、医療も日本ほどではないし、インフラも整っていない。隣人トラブルもある。適応できない人もたくさんいるだろう。それでも、人によっては老後を海外で生きるというのは有力な選択肢の一つだなと。

 

まあ今の若者が60歳を超えた時の世界情勢がどうなっているかはわからないし、アジアの希望の星と言われているフィリピンが少子高齢化が進んでいる日本より豊かになるかもしれないけれど。

 

世界が広がった1冊。

 

というわけで、別の本のレビューになってしまったので、74冊目の感想はまた次の機会に。