田中泰延さんの新刊を読んだ。
読み終わってみて最初に思ったことは「よく笑ったなぁ」ということ。
まず、文字がでかい。なんてまあ読みやすいんだこと!加えて、本全体にユーモアが散りばめられている。文字が大きくて、ユーモラスな文章、相性はバッチリ。「滑るのがスキーだ」には声を出して笑った。文章術の本だったはずなのに、なんでこんなにおかしいのだろう。こんだけ笑ったのは、松本哉さんの「貧乏人の逆襲」以来だ。
この本のすごいところは、決してお笑いだけじゃないというところだ。中盤から徐々にギアがかかってきて、真っ当な文章術が披露されていく。一次資料に当たることが大事というのは初めて聞いた。適当に思いついたことを並べればいいと思っていたので目から鱗。随筆の定義もなるほどと思った。
また、広告や就活について書かれたところは、就活をやっている身としてすごく勉強になった。普段うざったくて飛ばしているCMの裏側にはどんな工夫が施されているのかがわかったし、エントリーシートの書き方もユーモアを混ぜながら実例を通して説明されていて、うわあこの人頭いい!と感心した。
タイトルの「読みたいことを、書けばいい」というメッセージがとても良くて、引きこもり時代がまさにそれだった。当時は引きこもりの人のブログなんかもよく読んでいて、そういう文章が好きだった。自分でもいろんな悩みや考え事について開けっぴろげに書いていた。書くのは自分、読者も自分。書いていくうちに予想もしなかった方向に転がったりもして、それが楽しかった記憶がある。だから今も日記とかブログを書いているんだろうなぁ。
硬い文章だけが羅列されているのではなく、かといっておふざけだけで終わるわけでもない。くだらないことで笑いながら、ちゃんと要点はピシッと教えてくれていて、すごく面白い本だった。
折に触れて読み返したいので、売らずに本棚に置いておく。